何者

朝井リョウ著の同名小説をもとに映画化した就活青春ドラマです。
原作は未読ですけど、このキャストでどんな物語が創り上げたのだろうと気になっていました。
楽しそうな雰囲気で始まった物語は、やがて主人公の心を一気に暴き出していきました。

途中の展開には思わずスクリーンを見つめながら固まってしまいました～

真面目に就活に取り組んでいる拓人（佐藤健）。
拓人の親友＆同居人で、熱中していたバンドを卒業して就活を始めた光太郎（菅田将暉）。
拓人の片想いの相手で光太郎の元カノの瑞月（有村架純）。
拓人たちと同じマンションの住人＆瑞月の友人で就活中の理香（二階堂ふみ）。
理香と同棲中で、就活をせずに将来の道を歩もうと考えている隆良（岡田将生）。
そして、良識ある大人の目を持つ拓人の劇団時代の先輩・サワ（山田孝之）。

彼らは社会人になる一歩手前で、就活という大きな試練に向かい始めました。
お互いの情報と状況を分かち合える仲間でしたけど、次第に仲間の中に内定が出始めると
拓人の心中は荒れ始めてしまいました(-_-)

それにしても、途中からとても怖い展開になっていく作品でした…

私はSNSをしないので、スマホをずっと手放せない気持ちは本当には理解できません。
でも、SNSに囚われたらこんなふうになるのは少し解る気がします。
周りには言えないことも匿名の海になら流せる気がするし、そうしないと壊れそうなほど心が疲れていたら…

でも、書く方は匿名だと思っていても、読む方には知られているという怖い状況はありえます。
そこを理解していない分、主人公の落ちる罠は深いです。
失恋と未来への不安で心を閉ざしたために落ちてしまった罠です。
彼には本音を語れる相手が居ないと思っているし、周りもそれに気付いているのだと切なくなりました。

嘘で固めた理想像は他人には見破られるものだと気付いた主人公にほっとしました。
観終った時、今の就活ってまだまだ厳しいなと思うのと同時に、
ネットでしか本音が出せない時代って怖いなあとしみじみと思った1本です。



監督：三浦大輔　出演：佐藤健　有村架純　二階堂ふみ　菅田将暉　岡田将生　山田孝之
2016年　日本
（20161117）

→公式サイトはこちらへ　http://nanimono-movie.com/