何度も映画化されている小説「フランケンシュタイン」の誕生にまつわる物語を描いたドラマです。
あの有名な怪奇小説を書いたのが18歳の女性で、その女性をエル・ファニングが演じると聞いて
チャレンジしてみました。
女性が自由に生きていくことが難しい時代にこの物語が誕生したことの意味を
じっくりと考えさせられるような作品でした。
それにしても、切ない物語でした(T_T)
メアリーの誕生した18世紀の終わり頃のイギリスは、女性が自由に生きることが難しい社会になっています。
女性が小説を書くことはなかなか認められず、男性名義や無記名で出版されることもしばしば。
中でもメアリーのような内容の小説は、当然のように出版を断られます。
ただし、出版の難しさ以上にメアリーがこの小説を書くことになるまでの物語が辛いです。
実母は自分を産んで間も無く亡くなり、義母には嫌われた挙句、
16歳で妻子ある詩人と駆け落ちをしたために、唯一の理解者である父の愛も失います。
しかも、17歳で産んだ長女は病気でひと月もたたないうちに亡くなります。
とにかく不幸続きなのです。
さらに、駆け落ちをした相手は浪費家の浮気者で、メアリーに心労をかけてばかり。
町ですれ違った父には、その姿は何だと冷たい眼で言われてしまう始末です。
家に縛られる事を嫌って駆け落ちした彼女でしたけど、
自由な心を羽ばたかせるような時間が無いという事実を思い知らされるような展開でした。
ギリギリまで追い詰められたからこその「フランケンシュタイン」誕生だったのかとため息が出ました。
そして何と言っても、メアリーを演じたエル・ファニングの透明さも感じるような可憐な姿と、
意志の強さを感じるような存在感はさすがでした。
観終った時、ある意味18世紀の終わりから19世紀にかけて生きた女性の人生はこんな感じだったのかなと改めて考えてしまった1本です。
監督:ハイファ・アル=マンスール 出演:エル・ファニング ダグラス・ブース トム・スターリッジ ベル・パウリー ベン・ハーディ スティーヴン・ディレイン
2017年 イギリス=ルクセンブルク=アメリカ 原題:MARY SHELLEY
(20181223)
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公式サイトはこちらへ https://gaga.ne.jp/maryshelley/