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心配しないで ~フランス映画祭より~ [さ行]

庇護される子供から大人へと成長していく主人公の瞳が印象的でした。

19歳のリリが夏休みのバカンスから帰宅した。
しかし待っていたのは両親だけで、大好きな双子の兄ロイクの姿は無かった。
所在を尋ねるリリに、ロイクは父と喧嘩の末に家出したと答える。
心配したリリは兄の携帯に電話をかけるが返事は来ない。
やがてリリは心配のあまりに食物を受け付けなくなり、強制的に入院させられてしまう。
入院中も栄養の取得を拒否し続けたリリは危険な状態に陥るが、
家出中の兄から手紙が届いたことをきっかけに立ち直り、ようやく家へと戻ってきた。
しかし、彼女はどうして兄が家出をしたのか理解できずに、悩み続けていた…

19歳の少女とその家族を描いた物語です。
突然に知らされた兄の家出。
仲の良い自分にも連絡をよこさないという状況を受け入れられず
悩み続ける主人公に、共感しながら観ていました。

兄からの手紙に元気付けられながらも
手紙以外の方法では連絡の無い兄を心から心配し、その姿を捜し求めるリリ。
兄の作った音楽を心の支えとして聴きながら歩く彼女の姿は、とても儚げに見えました。
そして、そんな彼女に多くを語れず
抱きしめることしか出来ない両親の姿もとても哀しそうでした。

映画後のティーチインで監督は、中産階級の人々の暮らしも描きたかったと言っていました。
リリが自宅へ送ってもらうシーンで、同じ作りの家が続く近所と自宅を見ながら
“『トゥルーマン・ショー』みたい”と言う台詞があります。
家の色も庭の雰囲気も同じ、夕食後の過ごし方も定番の“夫婦でテレビ鑑賞”。
そして、見ているテレビ番組までもが一緒だったのは、ちょっとブラックでした(笑)
ただ、25年間働いて父がやっと手に入れた家が
そんな同じような人々の集まりだったのかと思うと
それも切実な現実なのだな…と感じました。

一体、兄はどうしてしまったのかはネタバレなので触れませんけれど
観終わった時、親の愛とは何かを考えさせられました。
そして、そんな親の想いをも1年という時間で越えてしまう少女の姿が眩しく感じた1本です。


(070316)


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