きみにしか聞こえない [か行]
美しい風景と音楽で始まる作品です。
その画面の光の優しさに、すーっと心が映像の世界に入っていきました。
高校生のリョウ(成海璃子)は内気な女の子。友達はいないし携帯も持っていない。
鳴らない携帯を持っていることほど淋しいことはないと思っている。
ある日、学校の帰り道の公園で携帯の着信音が聞こえてきた。
音をたどっていくと、そこにはおもちゃの携帯が落ちていた。
その可愛さに心を惹かれ、家に持ち帰る。すると、家の中で携帯の着信音が聞こえ始めた。
一体なんだろうと思いつつも、リョウはおもちゃの携帯を机の引き出しにしまった。
翌日学校に行くと、今度は授業中にも携帯の音が聞こえ始めた。
教室の雰囲気から、その音は自分にしか聞こえていないようだと分かり始める。
気分が悪くなり保健室で寝ていると、再び着信音が聞こえ始めた。
ついにその携帯に応答すると、電話の向こうから男の人の声が聞こえ始めた…
頭の中の携帯で時空を越えて会話をしていくという、ちょっと不思議なストーリーでした。
小学校の頃に偶然聞いてしまった友達の悪意の言葉。
それ以来、人間の表と裏の違いに怖さを感じて、人と上手く話せなくなってしまったリョウ。
当然、友達も出来ず、学校や家でも存在感が薄い。
そんな少女が不思議な携帯でのやり取りで、自分を取り戻していく物語が丁寧に描かれていました。
彼女と会話を始める男の子シンヤ(小出恵介)も、様々なものを背負っています。
彼は耳が聞こえず、話すことも出来ません。
そして以前は家族と一緒に鎌倉に住んでいたけど、今は長野で祖母と静かに二人暮しをしています。
彼は壊れたものを修理するのが大好きで、捨てられたものを見つけては一生懸命に直しています。
そんな二人が会話だけで心を繋ぎ合わせていく様子は
観ていて可愛いなあと思いつつもちょっと切なかったです。
それにしても成海璃子さんは、このリョウにぴったりでした!
こんな不思議な体験をする役でも、本当に違和感を感じさせない女優さんですね。
対する小出恵介さんもちょっと間違えると嫌味になりそうなくらいのいい人役を
明るい笑顔でさり気なく演じていました。
この二人がいたからこそ、素敵な作品に仕上がったのだろうなあと感じました。
観る者の心にパワーをくれるような1本です。
監督:荻島達也 出演:成海璃子 小出恵介
2007年製作 日本
(070629)
自分も先週この作品を鑑賞してきました。
繊細でやさしくて、自然がおおらかに包み込んでくれて、心地いい映画でしたね。ドリカムの主題歌も大好きです。
by cs (2007-07-01 13:19)
csさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました。
本当に優しい気持ちになる作品でした!
映像も音楽もストーリーも、そして役者さんたちの演技も
みんな良かったです☆
by non_0101 (2007-07-02 00:28)