SSブログ

12人の怒れる男 [さ行]

名作『十二人の怒れる男』をロシアのニキータ・ミハルコフ監督がリメイクした作品です。
陪審員たちの背景と問題の認識の仕方にロシア社会の状況が見えてくる興味深い作品でした。

チェチェン人少年が養父であるロシア人将校殺害の罪で裁判にかけられた。
証拠も証言も少年の罪を確定付けており、簡単な裁判のように思われた。
12人の陪審員たちは最終的な判決を決めるために別室へと集められる。
罪が確定するのは全員一致の判決が下された時だ。
だが票決を取ってみると、一人の男が無罪に手を上げた…

オリジナルも以前観たことがあるのですけど、もう記憶の彼方に…
確かヘンリー・フォンダが演じた陪審員が差別意識を持たずに正しい視線で疑問点を述べていくうちに
段々と矛盾点が見つかって…みたいなストーリーだったと思います。

このロシア版も同じような展開ですが、背景にあるロシアの現状が浮き彫りにされていました。

なにせ、改装中の会議室の代わりに陪審員たちの会議室として割り当てられたのは、学校の体育館。
しかも、修繕期限をとっくに過ぎているような痛みようで、煙突と壁との隙間には詰め物までしてあります。
そんな場所で語られるのは… 戦争。人種差別。不正。陰謀。恐怖と嫉妬。
人種も職業も違っている12人の男たちが意見を交わしていく中で、
それらの問題が心の叫びを伝えるような緊張感をもって語られていきました。

そしてようやく導き出された結論が簡単には受け入れることが出来ないという現実。
これには単純に正義とか希望とかを貫くのが難しくなっているロシアという国の難しさを実感しました。

時々、フラッシュバックで映し出された犬の走るシーンの意味がいまいち分からなかったので、
いつかもう一度チャレンジしてみたいなあと思った1本です。

hitsuji_12.jpg

監督:ニキータ・ミハルコフ 出演:セルゲイ・マコヴェツキー ニキータ・ミハルコフ セルゲイ・ガルマッシュ
2007年 ロシア 原題:12
(20080906)

nice!(6)  コメント(13)  トラックバック(5) 
共通テーマ:映画

nice! 6

コメント 13

non_0101

xml_xslさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2008-09-16 12:58) 

たいちさん

日本でも採用される裁判委員制度を、頭に浮かびました。人を裁く事は難しいですね。機会あれば観ようと思います。
by たいちさん (2008-09-16 15:18) 

snorita

最近ですが、古い方をみました。すっかり忘れていたのですが、やっぱり面白かった。
舞台は一つの部屋しかなく、ただその中でカメラが動いているという映画。
でも、最後まで集中してみてしまいました。

これも、観てみたいです。アメリカよりも、ずっと奥が深いかもしれませんね。
by snorita (2008-09-16 20:03) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
ロシアで実際に行なわれている陪審員制度とはちょっと違うようですけど
決定に責任を感じるという点は同じですね。
明らかな裁判でも話し合おうと提議する陪審員の気持ちは分かるなあと
思いながら観ていました。
長め作品のですので、椅子の良い劇場で観るのがお勧めです(^^ゞ
by non_0101 (2008-09-16 22:34) 

non_0101

snoritaさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
私もオリジナルはかなり前に観たのであんまり覚えていません(^^ゞ
正義感溢れたヘンリー・フォンダがかっこよかった印象が残ってます。
やっぱり面白そうですね!私も見直してみようかな。

ロシア版で最初に無罪を主張する理由は正義感というよりは責任感で、
そんなちょっと消極的な理由も興味深かったです。
また個々の持つ背景も本当に多岐に渡っていて面白かったです。
世情に疎い私にはとても勉強になる作品でした(^^ゞ
by non_0101 (2008-09-16 22:46) 

江戸うっどスキー

昨日、観ようと思っていたのですが、急遽予定が入って^^;。
やはり、展開がスリリングで面白そうですね。
オリジナルも見ていないので、是非、チャレンジしてみたいと思います。
by 江戸うっどスキー (2008-09-18 21:55) 

non_0101

江戸うっどスキーさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
陪審員ひとりひとりが語っていく中で、ロシアという国の難しさが
少しずつ浮き彫りになる展開が面白かったです。
ラストもなるほど~と思う展開ですので、ぜひ楽しんでくださいね(^^)
by non_0101 (2008-09-19 12:43) 

バラサ☆バラサ

なが~い作品ですが、色々な奴が、色々な人生を語るので、興味深い作品でしたね。
アメリカのが、ひたすら正義な作品でしたが、こっちはまったく異質な作品に仕上がっていました。

再度鑑賞し、メモを取りながら、陪審員たちの相関図でも作ってみたいものです。
by バラサ☆バラサ (2008-09-25 22:41) 

non_0101

バラサ☆バラサさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
長い分、歴史や世界情勢に疎い私でもよ~く解るような作品になっていました。
陪審員一人一人の納得の仕方が興味深かったです。
相関図を作ってみたら面白そうですね~!
普段はDVDを観ることは無いのですけど、この作品はいつか
じっくりと見直してみたいなあと思いました☆
by non_0101 (2008-09-26 00:17) 

おぉ!次郎

 旧作の『12人の怒れる男』、『12人の優しい日本人』は観ていますが、この映画は未見でした。記事にして頂きありがとうございます。是非機会を見つけて観賞したいと思います。


by おぉ!次郎 (2009-02-12 23:19) 

non_0101

おぉ!次郎さんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
この「12人の怒れる男」は現代のロシアを舞台にした見応えのある作品でした。
陪審員たちのキャラクターや主張もそれぞれ興味深かったですので、
機会がありましたら、じっくりと楽しんでみてくださいね☆
by non_0101 (2009-02-13 00:53) 

ふとめしんど

あの手首をくわえた犬のシーンは黒澤明「用心棒」に同じものが出てきます。黒澤へのオマージュではないでしょうか。
by ふとめしんど (2013-04-08 01:29) 

non_0101

ふとめしんどさんへ
こんばんは。ご訪問をありがとうございます。
おぉ!そういう意味のあるシーンでしたか!
謎が解けて嬉しいです。ありがとうございました☆
by non_0101 (2013-04-08 23:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 5

闇の子供たちウォンテッド ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。