SSブログ

セントアンナの奇跡 [さ行]

スパイク・リー監督の創り上げた戦争映画です。
1944年のイタリアを舞台に、差別の中で戦った黒人兵士たちの物語を、実話を元に描いています。
孤児の少年と4人のアメリカ黒人兵との奇妙な逃避行の行方はかなり辛いものでした。

1983年12月。クリスマスで賑わう郵便局で殺人事件が起きた。
窓口担当の黒人職員ヘクター・ネグロン(ラズ・アロンソ)がドイツ製の銃で
切手を買いに来た初老の客を撃ち殺したのだ。
ネグロンは3ヵ月後に定年を迎える真面目な職員で、第二次世界大戦では勲章を貰うほどの人物。
その後、ネグロンが黙秘を通していたこともあり、
警察は動機や被害者との関係がさっぱり分からないままだった。
ただし、警察が彼の家を家宅捜索したところ、第二次世界大戦中にナチスが壊した遺跡の頭部が
クローゼットの中から見つかっていた。
拘置所までネグロンを訪ねた新聞記者は
彼から遺跡の頭部とのつながりを聞き出そうとしたが口を割らない。
だが、ネグロンは無言の後に“眠る男を知っている”と一言だけ話した…

戦闘&虐殺シーンのリアルさがハードで、胸にドーンと来ました(T_T)

純粋で心優しいサム・トレイン(オマー・ベンソン・ミラー)。
大柄な彼はちょっとトロくて仲間からはお荷物にされていました。
でも、その無垢な心は仲間たちの優しさを引き出す存在でもありました。

無謀な戦略に送り出されたドレインを含む4人の黒人兵士が隊からはぐれて山間を彷徨います。
そんな中、トレインが瀕死の状態だった少年アンジェロ(マッテオ・スキアボルディ)を見つけます。
アンジェロを見捨てられなかったトレインは彼を保護し、大切に看護します。
また、初めて黒人を見たアンジェロもトレインを“チョコレートの巨人”と名付けて心を開き始めました。

悲惨な戦場の中で起きた小さな優しさにほほえましく思っていたのも束の間、
パルチザンの攻防や住民とドイツ兵との対立なども絡み合い、周辺の戦況が急激に悪化します。
そして、住民たちを巻き込む激しい攻撃の中で、
4人の兵士たちと少年の運命は大きく変わっていきました。

それにしてもスパイク・リー監督らしい映画でした~
黒人兵士たちへの厳しい差別と、平等に生きることの出来ない現状。
外国で始めて感じた自由と、その中で揺らいでいく祖国への複雑な想い。
そして戦場における狂気と無慈悲な虐殺。
観ていて辛いシーンもたくさんありましたけど、どれもが深く考えさせられました。

ひとつひとつのシーンが凝っている分長さもありますけど、その分見応えも感じた1本です。

hitsuji_MIRACLE-AT-ST.-ANNA.jpg

監督:スパイク・リー 出演:ラズ・アロンソ オマー・ベンソン・ミラー デレク・ルーク マイケル・イーリー マッテオ・スキアボルディ
2008年 アメリカ 原題:MIRACLE AT ST. ANNA
(20090726)

nice!(8)  コメント(13)  トラックバック(9) 
共通テーマ:映画

nice! 8

コメント 13

KLY

長い作品でしたが見応えがありました。スパイク・リー監督らしく主義主
張のはっきりした作品でしたね。
今回は人種差別問題だけじゃなくて反戦的要素も多分に含めてきたのは
やっぱりイラクやアフガニスタンでのことも影響してるのかもしれません。
教会のシーンは映画とわかっていても余りに凄惨でショックでしたよ。
しかし予告編からはトレインが生き残るのかと思っていたんですが、ヘク
ターだったとは意外です。従って彫像の首というキーアイテムだったはず
が、ヘクターのネックレスがキーアイテムになってしまったことに違和感を
覚えました。

by KLY (2009-07-27 01:13) 

non_0101

KLYさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
R-15なの?と思ってはいたのですけど、戦場や虐殺のシーンは辛かったですね~
遺体になってしまった人々の姿は目に焼きつきました(T_T)
アンジェロが何故、十字架に心を惹かれたのかはあまり良く分からなかったです。
ただ、アンジェロにとってこの出来事の思い出の品はあの十字架だけだったと思うと
よくぞ大切にしてきたなあとちょっと感動でした☆
by non_0101 (2009-07-27 12:45) 

non_0101

xml_xslさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-07-27 12:46) 

non_0101

@ミックさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-07-27 12:46) 

non_0101

takemoviesさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-07-27 12:47) 

たいちさん

かなり重たいテーマの映画のようですね。目を覆うような残忍なシーンもあるそうですので、一般向きではなさそうですね。
by たいちさん (2009-07-27 15:29) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
予想以上にハードでした~
差別のために命を落としていく兵士たちの無残な姿と
腹いせのために無慈悲に虐殺されていく村人たちの姿が辛かったです。
でも、監督さんの伝えたいことが真っ直ぐに伝わってくるような
見応えのある作品でした☆
by non_0101 (2009-07-28 07:02) 

non_0101

U3さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-07-30 12:31) 

コッスン

良い作品でしたね。
眠る男が人だと思ってたので
最初、ミステリーっぽいなーと思いました。
すごくキリスト教の映画でしたね。
アーメンとかイエメンとか言語は違っても
神の御光が見えなかったとかのシーンで
なぜかノウイングのラスト近くのまぶしい光のなか
天使さんたちが昇天したシーンを思い出してしまいました。^^;
トレインの遺言どおり、クロスをアンジェロにあげて
あの彫像は奇跡を起こすものでしたねー
ヘクターは神を信じていたんでしょうかねー。

by コッスン (2009-07-31 00:00) 

キキ

こんにちは。
最初の事件が中盤の説明ではっきりしてくるという筋なんですが
いろんな事を盛り込み過ぎの感じがして・・・。
後半、裏切り者が誰なのかがわかってからぐっと面白くなったので
残念です。
ニューヨークの事件の二人。時が経ってもお互いの顔が瞬間で
わかるのも奇跡のようでした。


by キキ (2009-07-31 07:56) 

non_0101

コッスンさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
私も“眠る男”って誰?と思いながら観ていました(^^ゞ
> ヘクターは神を信じていたんでしょうかね
戦争を体験して一人生き残った人間の心理は考えも及びませんけど
きっと彼にとっての神は心の支えになっていたのでしょうね☆
by non_0101 (2009-07-31 12:43) 

non_0101

キキさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
最初は撃った人と撃たれた人は誰?と思いながら観ていました。
最初から分からない謎が多かったです。
> 時が経ってもお互いの顔が瞬間でわかるのも奇跡のようでした
ヘクターにとってはずっと戦争は続いていたのでしょうね。
ずっとあのピストルを手元に持っていたということも凄いです。
いつかこういうことがあったら…と思い描いていたのかも知れませんね。
ヘクターはどんな思いで生きてきたのだろうと考えてしまいました☆
by non_0101 (2009-07-31 12:51) 

non_0101

おぉ!次郎さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-08-03 00:26) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 9

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。