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フェアウェル さらば、哀しみのスパイ [は行]

1981年に起きた“フェアウェル事件”を題材にしたサスペンスドラマです。
旧ソ連の中で何が起きていたのだろうかと興味がありました。
スパイ“フェアウェル”となったKGBの大佐や、彼の連絡係となったフランス人技師の姿を描きながら
人として誰もが持つ家族への深い愛とスパイの哀しい宿命を伝えてくれました。

フランス企業のモスクワ支社にいる技師ピエール(ギョーム・カネ)は上司からある人物への伝言を頼まれた。
娘の晴れ舞台を中座して外に出た彼は、自分の車に乗り込むと相手から合図が来るのを待っていた。
だが、待っていた男(エミール・クストリッツァ)は実はピエールの車に乗り込んでいた。
突然に声をかけられて驚くピエールに、男は情報の書いたメモを渡した。
だが、ピエールが上司から頼まれてやってきた一般人でスパイでは無いと知ると、
がっかりした態度を取り始める。
男はピエールにはこのメモの情報の重要さが理解できないと嘆くと、
次はプロのスパイをよこせと言って車を去った。
ピエールにはわからなったメモはその重要性により、
フランス大統領の手へからアメリカ大統領の手へ渡っていく。
そして、ピエールの会った男には“フェアウェル”という英語のコードネームが付けられた…

一人のスパイの行為が旧ソ連崩壊へと繋がっていきました。

旧ソ連の極秘情報をフランスDSTに渡したスパイの物語です。
その男はKGBの中でも情報の中枢にいるグリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツァ)です。
彼はこのままではソ連が発展しないと考え、現体制を壊すために西側へ情報を渡そうと考えます。
その頃のソ連は西側から技術を盗んで自分のものにし、発展していました。
開発するより出来たものを盗む方が得だと考えたのです。
グリゴリエフ大佐から届けられた資料には、スペースシャトルの設計図からホワイトハウスのパスワードまで
西側が仰天するような情報が記載されていました。

グリゴリエフ大佐は愛人を持つような男である反面、妻と息子を深く愛しています。
特に大学生の息子とは最近ちょっと疎遠になっているのが寂しいのですけど、
愛する息子に明るい未来を渡したいと考えるのです。
それが体制崩壊とはすごいです。さすがKGBの大佐が考えることは違いますね。
そして、グリゴリエフの望む通り、彼の渡した情報は西側との情報戦からソ連を退かせるのに
十分なものになりました。

一方のピエールは本当にごく普通の一般人です。
二人の子供はまだ幼く、スパイなどしたいとも思っていません。
特に幼い頃に東ドイツから亡命したという過去を持つ妻は、彼のスパイ行為を知ると
家族を危険にさらしたと怒りに震えたほどです。
でも、技術の知識を持つ彼は、グリゴリエフの資料に目を奪われ夢中になります。
そして、グリゴリエフが息子のためにソ連を変えたいという願いから行動していることを知ると、
自分もグリゴリエフと一緒に頑張ろうと考え始めました(^^ゞ

それにしても、グリゴリエフを演じたエミール・クストリッツァの存在感はさすがですね。
監督として数々の映画祭の賞賛を浴びてきたエミールは、今回は役者として主役を演じています。
彼の何となく愛に不器用そうなところや信念に向かって突き進む姿は
グリゴリエフのキャラクターにぴったりでした。
そして、グリゴリエフと連絡を取り合っていたピエールを演じたギョーム・カネも
いつの間にか巻き込まれてグリゴリエフと深く関わりあっていく民間人を自然体で演じていました。

相変わらず世界史が全くダメな私はこの映画ではじめてこの事件のことを知りました。
一人の男の犠牲でこれだけのことが起こせるのかとびっくりでした。
観終った時、グリゴリエフの息子は幸せになったかなあとちょっと思ってしまった1本です。

hitsuji_FAREWELL.jpg

監督:クリスチャン・カリオン 出演:エミール・クストリッツァ ギョーム・カネ アレクサンドラ・マリア・ララ インゲボルガ・ダプコウナイテ ウィレム・デフォー
2009年 フランス 原題:L'AFFAIRE FAREWELL/FAREWELL
(20100901)

公式サイトはこちらへ


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コメント 15

たいちさん

スパイ映画は基本的に好きですね。特に史実に基づいた映画のようですので、機会あれば観たいですね。
by たいちさん (2010-09-02 22:31) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
約30年前の出来事を映画化しています。
30年前のソ連はこんな国だったのだなあと思いながら観ていました。
リアルで緊張感のある展開に最後まで目が離せませんでした。
もし機会がありましたらチャレンジして観てくださいね☆
by non_0101 (2010-09-02 22:48) 

non_0101

ヒロさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:48) 

non_0101

ソラさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:49) 

non_0101

aya_ruiさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:49) 

non_0101

おさむさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:50) 

non_0101

ぷりんさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:51) 

non_0101

月夜さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-02 22:51) 

non_0101

sonet会員さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-03 00:13) 

KLY

私この作品を『ソルト』と続けてみたんですね。
どっちもKGBとか出てくる意味ではスパイモノなんですが、
方やハリウッドエンタテインメントのスパイムービーで、こっち
はやたらリアル。
同じスパイモノでもえらいこっちゃちがうなぁと、辺に感心して
しまいました。^^;
by KLY (2010-09-03 02:17) 

non_0101

KLYさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
『ソルト』と2本立てとは凄いですね~
『ソルト』が現代を舞台にしたサスペンス・アクションなのに対して、
こちらは家族愛とか主人公たちの心情が描かれていて、興味深かったです。
何と言っても、『ソルト』は主人公が何を考えているか分からないのが
一番のミステリーですし(^^ゞ
同じスパイものでも本当に違いましたね☆
by non_0101 (2010-09-03 07:14) 

movielover

こちら観たいと思ってたのに見そびれました…。
クストリッツァの存在感、やっぱり気になります!
by movielover (2010-09-16 21:48) 

non_0101

なぎ猫さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-16 22:42) 

non_0101

エコピーマンさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-09-16 22:43) 

non_0101

movieloverさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
クストリッツァ監督は役者としても本当に存在感がありました~
見応え十分でしたので、いつか機会がありましたら
ぜひチャレンジして観てくださいね☆
by non_0101 (2010-09-16 22:46) 

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