地球でいちばん幸せな場所

どこかで聞いた事があるようなタイトルですけど
この作品はベトナムを舞台に一人の少女と二人の男女の若者が織り成す小さな物語です。
少女の逞しさと真っ直ぐな心に癒されたような気持ちになる作品でした(^^)

トゥイ（ファム・ティ・ハン）は両親を亡くし、叔父に引き取られている10歳の女の子。
叔父はトゥイを自分の工場の働き手としてこき使っているだけの業突く張りな男で
失敗ばかりするトゥイのことを頭の悪い子だと怒ってばかりだ。
そんな生活に嫌気のさしたトゥイは郊外にあるその叔父の家から都会のホーチミンへと逃げ出した。
街で働いている子供たちに助けられながら、カードや花売りの仕事に就いたトゥイだったが、
住む所も無く不安定な生活は変わらない。
そんなある夜、屋台で花を売っていたところ、一人で食事をしていた美しい女性ラン（カット・リー）と出会う。
彼女はトゥイの身の上を心配し、その夜は彼女を自分の部屋へ泊めてくれた。
その翌日、再び街で花を売っていたところ、楽しそうな雰囲気に惹かれて動物園に入ると
象のコーナーで飼育係のハイ（レー・テー・ルー）と出会う。
仕事中の彼は忙しそうだったのだが、トゥイを見捨てられずに優しく接してくれた。
二人の優しさと、そして寂しい心を感じたトゥイは二人を会わせたいと考え始めた…

ベトナムの素朴な雰囲気と、よく働く子供たちの力強さが印象的でした～

両親を失って幸せな場所を無くしてしまったトゥイ。
唯一の肉親である叔父は彼女を学校へ通わせることも無く、働き手の一人としてみているだけで
愛情をかけてはくれません。
そんな彼女は10歳ながら一人立ちしようと考えます。
そして、さまざまな人で溢れかえっているホーチミンという街は
孤児の少女をも当たり前のように受け入れていきました。

でも、彼女に仕事を与えてくれた街も、愛情を与えてくれる訳ではありません。
気丈に働きながらも、寂しいという気持ちが見え隠れします。
そんな少女に笑顔を与えてくれたのは、やはり愛を失って孤独を感じていたランとハイでした。

少女が愛を一途に求めた時、二人は動き始めます。
愛を求めていた彼女こそが、次第に愛のある場所へと変わっていく展開が嬉しかったです。

ベトナムという舞台だからこそ、こんなに素朴で素敵な物語になったのだろうなあとしみじみ感じた１本です。



監督：ステファン・ゴーガー　出演：ファム・ティ・ハン　レー・テー・ルー　カット・リー
2007年　アメリカ/ベトナム　原題：OWL AND THE SPARROW
（080820）

コメント 6

xml_xslさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2008-08-23 12:24) 

仕事で数ヶ月滞在したことがあり、そのあと大好きになって何回も訪れております。

ちょっと田舎に行くと、なんだか懐かしいような、昔の日本（私が子供のころの）みたいな感じがします。子供が労働力になっていて、ツボに絵を描いたり牛を引いたりしているんだけど、みな、元気でかわいかった。また、いきたいなあ。いまとても元気のある国だと思います。
これ、見てみたいですね。
by snorita (2008-08-24 08:58) 

snoritaさんへ
こんにちは！ベトナム映画はほとんど見ていないので、雰囲気が新鮮でした。
snoritaさんはあの街の不雰囲気を何回も体験しているのですね！
私はほとんど外国へ行ったことが無いので、羨ましいです～
映画はストリートの現状をよくリサーチして作っていたようなので
街の音とか動きがとても自然に感じられました。
もし、機会がありましたら、観てみて下さいね☆
by non_0101 (2008-08-24 14:46) 

巨大国の犠牲になったベトナムを舞台にした映画とは、感慨深いですね。
by たいちさん (2008-08-25 10:59) 

たいちさんへ
こんばんは。nice＆コメントをありがとうございました！
今のベトナムの街が身近に感じられるような作品でした。
特に音が印象的です。
エンドロールと共に流れているのが街の雑然とした音なのですけど
つい、聞き入ってしまいました(^^ゞ
by non_0101 (2008-08-25 20:58) 

アートフル　ドジャーさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました！
by non_0101 (2008-08-30 12:28)