トルパン（東京国際映画祭より）：とりあえず、コメントです：So-net blog

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トルパン（東京国際映画祭より）　[た行] [編集]

カザフスタン南部にあるステップ地帯で、羊の遊牧をしている一家の物語です。
夢を求めて嫁探しに必死な主人公の姿は、切実だけどちょっと可笑しかったです。

兵役を終えてサハリンから帰国してきたアサ（アスハット・クチンチレコフ）は
姉の嫁ぎ先である遊牧民の一家のもとに身を寄せていた。
彼の夢は、いつか自分の羊を持って牧場を作ること。
義兄は厳しい人だが、アサは彼なりに遊牧の手伝いを頑張っていた。
ある日、遊牧を仕切っているボスに独立したいと訴えたが、ボスは独身には無理だと却下する。
一日中外にいる遊牧生活には、家を守ってくれる妻がいないと無理だというのだ。
だが、この家の少ない地域には若い独身女性がほとんど居らず、候補はトルパンという名の女性だけだった。
早速、義兄や友人とトルパンの家を訪ねて結婚を申し込もうとするが、
両親にしか会えず、トルパンは顔も見せずにアサの耳が大きいから嫌と断りを入れてきた…

強い風と乾いた空気がとても印象的でした～

ちょっと頼りないけど大きな夢を持っているアサ。
瀕死状態の生まれたての赤ちゃん羊に人工呼吸しろと言われて臭いと逃げるところなどは
それでも牧場の夢を持つ男か～！と怒りたくなりましたけど、でも彼なりに一生懸命なのは伝わってきました。
特に嫁候補のトルパンを必死に口説こうとする姿は、気の毒だけどクスクス笑ってしまいました(^^ゞ

また、彼の友人や彼を居候させている姉夫婦＆子供たちもとっても良かったです～
音楽と女の子が大好きでトラックをいつも楽しそうに運転している友人。
厳しいけど仕事に真面目で羊たちの命を必死に守ろうとする義兄。
弟アサのことを愛し、子育てをしながらしっかり家事も行なっている優しい姉。
そしてラジオ放送を暗記するのが得意な甥や、歌うのが大好きな姪などの様子が
遊牧民の生活と共に楽しく描かれていました。

それにしても4年の年月をかけて作り上げただけあって、全部がリアルでした～
羊の群れを覆いつくしてしまうほど強く舞っている土ぼこりの風。
荒野の彼方に空高く伸びるＣＧではない竜巻。子供を追い求める母ラクダ。
その中でも特にビックリだったのは羊の出産シーン！
倒れている羊がいると思ったら、ＣＧでもなく特撮でもなく、赤ちゃんが生まれてきました～！！

昔、教科書に載っていた“ステップ気候”の生活。
そんな世界に大きな夢を持つ青年のうしろ姿に、心がちょっと温かくなった１本です(^^)