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そして、私たちは愛に帰る [さ行]

カンヌ映画祭の最優秀脚本賞を受賞した人間ドラマです。
ドイツとトルコの間にある民族や社会の隔たりを描きつつ、
深い愛で繋がっている3組の親子のそれぞれの絆を映し出していました。

ドイツに住むトルコ人ネジャット(バーキ・ダヴラク)は大学教授。ハンブルクの大学で文学を教えている。
年老いた父アリ(トゥンジェル・クルティズ)は独り暮らしをしており、時々ネジャットは家を訪ねていた。
ある日、彼が父の家に行くと、トルコ人女性イェテル(ヌルセル・キョセ)を紹介される。
実は彼女は娼婦だったが、父が気に入り金を払う契約をして連れて来たのだ。
そんな事情は知らないネジャットだったが、
イェテルの遠く離れて暮らす娘が心配だと話している姿を見ているうちに
彼女が父と暮らすのを受け入れるようになる。
だが突然、父は心臓発作を起こして倒れてしまった…

主人公たちの相容れない感情に苦しむ姿と、その苦しみを越えた先にある親子の愛の強さが
じっくりと伝わってくる物語でした。

ドイツで暮らすトルコ人の父アリと息子ネジャット。
ドイツで暮らすドイツ人の母スザンヌと娘ロッテ。
ドイツへ出稼ぎに来ているトルコ人の母イェテルとトルコで暮らす娘アイテン。
物語はこの3組の親子を交差させるように展開されていきます。

その中で語られる相容れない感情や思考のすれ違いが、2つの国の持つ問題を浮かび挙げていきます。
ドイツで娼婦として働いているイェテルを見つけたトルコ人男性が不道徳だと辞めるように脅すシーン。
トルコ人のアイテンがトルコを「子供たちが学びたくでも学校に行けない現状」と訴えるのに対して
ドイツ人のスザンヌが「トルコもECに加盟すれば変わる」と楽観的な意見を言うシーン。
そしてアイテンがテロリストとしてドイツからトルコへ強制送還され、
助けにトルコまで行ったロッテがアイテンに会うのにも苦労するシーン。
それぞれの国の現状と人々の認識の違いが浮き彫りにされていきました。

やがて、この3組の親子に2つの死の悲しみが訪れます。
その死によって断ち切られたようにみえた関係は、やがて親子という強い絆で再び結ばれていきます。
観終わった時、邦題の「そして、私たちは愛に帰る」という言葉がじんわりと心に沁みてきた1本です。

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監督:ファティ・アキン 出演:バーキ・ダヴラク トゥンジェル・クルティズ ヌルセル・キョセ ヌルギュル・イェシルチャイ ハンナ・シグラ パトリシア・ジオクロースカ
2007年 ドイツ/トルコ 原題:AUF DER ANDEREN SEITE/THE EDGE OF HEAVEN
(20090206)

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コメント 6

たいちさん

遠く離れた親子の愛の物語のようですね。メジャーでない映画にも、このようなしっかりした作品があるのですね。
by たいちさん (2009-03-02 14:21) 

non_0101

xml_xslさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-03-02 20:50) 

non_0101

takemoviesさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-03-02 20:51) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
考えれば考えるほど奥の深い物語でした。
私はこの二国間のバックボーンをあまり知らなかったのですけど
改めてちゃんと知らなくてはと思いました(^^ゞ
by non_0101 (2009-03-02 20:59) 

江戸うっどスキー

時間が経てば経つほど、深い映画だったな~という気がしてきます。
愛に包まれた良い映画でしたね。
by 江戸うっどスキー (2009-03-08 22:57) 

non_0101

江戸うっどスキーさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
深い映画でしたね~。
こんなふうに許せるのも愛があるゆえにと思うと
愛とは何だろうと考えさせられます。
いつかまた、ゆったりとした気持ちで見直してみたい作品です☆
by non_0101 (2009-03-09 00:04) 

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