ある公爵夫人の生涯：とりあえず、コメントです：So-net blog

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ある公爵夫人の生涯　[お] [編集]

18世紀のイギリスで華やかに生きたデヴォンシャー公爵夫人の人生を描いた作品です。
愛に悩みながらも自分の生きる道を探そうとした一人の女性の姿が印象的でした。

笑顔の明るい人気者ジョージアナ・スペンサー（キーラ・ナイトレイ）は17歳で嫁ぐことになった。
スペンサー家を仕切っている母（シャーロット・ランプリング）が
イギリスでも特に裕福なデヴォンシャー公爵（レイフ・ファインズ）との結婚を決めたのだ。
まだ彼とは２回しか会っていないと不安がるジョージアナだったが
自分が愛されて結婚するのだと信じて期待に胸を震わせていた。
だが、結婚してみると公爵は礼儀は正しいが親しみや豊かな感情を感じられない人物だった。
夫婦の間に会話が無いと寂しがるジョージアナに、母は世継ぎを産めば大丈夫と諭す。
実は公爵がジョージアナに望んでいたのは従順さと世継ぎだけだった…

華やかな生活の裏で愛を求めて彷徨っていたジョージアナの人生が痛々しかったです。

女性には財産の相続権も政治へ参加する選挙権も無かった18世紀。
そんな時代の女性たちには、結婚するか男性の庇護の下に生きていくしかありませんでした。
そんな時代に愛を信じて結婚したジョージアナは、やがて結婚の現実を知ることになります。
初めての妊娠中に押し付けられた夫の愛人の子供。次々と発覚する浮気。
娘たちには見向きもせずに男の子を産まなかったことへの苛立ちを募らせる夫の姿。
そして、唯一の心の支えであった親友エリザベスにまでも手をかける裏切り行為に
彼女の愛は冷え切っていきます。

一方、ジョージアナは時代の寵児として華やかな社交界のファッション・リーダーとなっていきます。
彼女は行く先で人々の歓迎を受け、彼女の言動は人々を魅了していきます。
また彼女は自分の意見をしっかり持つ女性でもあり、政治への協力も惜しみませんでした。
そんな明るい笑顔の裏で、彼女は愛を求めて彷徨います。
そして、彼女の心は自分を愛しく想ってくれる
若き政治家チャールズ・グレイ（ドミニク・クーパー）へと傾いていきました。

それにしても、男子を産むまでの苦労は並大抵ではなかったです～
二人の娘を産み、二人の息子を流産。その間、夫は娘には我感知せずで、浮気ばかりです。
しかも自宅に居候していたジョージアナの親友に手を出して愛人にし、そのまま一緒に暮らすのです。
それでも自分は義務を果たしているし、男子を産んでいないジョージアナは
義務を果たしていないと言い切る公爵の姿には
時代とは言え、やっぱり理不尽だなあと感じてしまいました。
そして、そんな境遇の中でも最終的に自分の生きる場所を決めていったジョージアナは
真っ直ぐで前を見据えた瞳がとても印象的でした。

ラスト近くでようやくジョージアナに心を開き始めた公爵の姿を見ながら、
公爵の心の内をもう少し知りたかったなあとちょっと思ってしまった１本です。