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必死剣鳥刺し [は行]

藤沢周平著の時代小説「隠し剣」シリーズの同名短編を映画化した作品です。
時代劇はあまり観ないジャンルなのですけど、藤沢周平原作の作品はいくつか観ています。
今作も豊川悦司さんを主演にどんな作品をを紡ぎ出しているのか期待しながら観ていました。

江戸時代。海坂藩の兼見三左ェ門(豊川悦司)は城中で藩主(村上淳)の側室・連子(関めぐみ)を刺し殺した。
政治に口を出し始めた連子の行動が目に余るようになり、藩政が揺らぎ始めてしまったのだ。
病気で妻(戸田菜穂)を亡くし、子も無い兼見にしてみれば、当然、斬首も覚悟の上の刺殺だった。
だが、中老・津田(岸部一徳)より伝えられた沙汰は1年間の閉門という驚くほど軽いものだった。
亡くなった妻の姪・里尾(池脇千鶴)に家の世話をしてもらいながら1年を過ごした兼見は
その後2年間、役目に付かず藩内を散策しながら自分の生きる道を考えていた。
そんなある日のこと。兼見は津田より城内へ呼び出され、新たな藩命を仰せつかった。
それは、意外にも日常的に藩主の傍に仕えるという重要な役目だった。

今回の“隠し剣”は壮絶でした~

愚かな藩主と側室によって混乱した藩政を正すために行動を起こした侍・兼見の物語です。
彼は前年に心から愛していた妻を亡くしたこともあり、命を失うことに恐れはありませんでした。
ある意味、死に場所を探していたのかも知れません。
そして、静かに刃傷沙汰を起こした兼見でしたけど、命令により死ぬことは叶いませんでした。

そして3年後、再び兼見は藩主に仕える役目につきます。
藩政に力を持つ中老・津田が兼見を気に入り、新たな役目を与えたのです。
彼は藩主の寛大な心使いによりと説明するのですけど、藩主本人は愛妾を殺した兼見の顔など見たくない感じです。
その食い違いに違和感を感じていたところ、津田から裏の事情を知らされます。
津田が兼見の剣の腕を見込んだことによる抜擢だったのです。

相手にするだろう人物は、剣の達人・別家の帯屋隼人正(吉川晃司)です。
彼は藩主の行った失政の犠牲者であり、民を苦しめる藩主に怒りを覚えていました。
そして、津田の危惧したとおり、帯屋が刀を抜く事態だ起きます。
それは兼見の運命を大きく変えていきました。

それにしても、今作の殺陣のシーンはハードでした~
特に、再び愛を知り、生きようと決心した矢先のことだったので、
必死に剣を振る兼見の姿に心が痛くなりました。
そして、そんな兼見を演じた豊川悦司さんの鬼気迫るような凄まじさに圧倒されました。

観終った時、不条理に翻弄された主人公の運命に何とも言えない気持ちになりました。
ラストシーンがまた切ないなあとしみじみ感じた1本です。

hitsuji_hissiken-torisashi.jpg

監督:平山秀幸 出演:豊川悦司 池脇千鶴 吉川晃司 岸部一徳 小日向文世 村上淳 関めぐみ 戸田菜穂
2010年 日本
(20100701)

公式サイトはこちらへ

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は7月10日以降の予定です。


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コメント 31

KLY

若干芝居がかっていたように見えましたが、豊川さんの殺陣が
カッコよくて!ただね、やっぱりどうしても釈然としないのは、そ
もそも「必死剣 鳥刺し」ってどんな業なのかの説明がないこと。
見た目はもちろん解るんですが、そこに嘘でもそれらしい説明が
ないと、何だか全体的に説得力にかけちゃう気がするのです。
もちろん、実際の人間にそんなことできるわけないだろ~ってこ
とでもいいんです。それは小説ですから。^^;
by KLY (2010-07-02 22:07) 

non_0101

KLYさんへ
こんにちは。コメント&TBをありがとうございました!
殺陣は迫力があって凄かったですね~
久々に血がドバドバ出る殺陣を観ました。
“鳥刺し”の詳細は小説には書いてあるのでしょうか。
“鬼の爪”は観て明らかなのですけど、“鳥刺し”はちょっと教えて欲しくなりますよね(^^ゞ
by non_0101 (2010-07-03 07:26) 

non_0101

aya_ruiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-03 07:27) 

non_0101

まっきーさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-03 07:27) 

non_0101

月夜さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-03 07:28) 

non_0101

c_yuhkiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-03 07:28) 

なぎ猫

この映画、前売り券を買うと、隠し剣耳かきがもらえるそうで、予告編でそれを見る度、少し笑っちゃいます。映画はものすごく真剣そうなんだけど。
by なぎ猫 (2010-07-03 10:10) 

おさむ

御無沙汰です \(*´▽`*)/
応援のお言葉、ありがとうございました♪

by おさむ (2010-07-03 10:41) 

non_0101

dorobouhigeさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-04 09:10) 

non_0101

なぎ猫さんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
“耳かき”もらえるのですよね。ちょっと欲しいなあと思ってしまいます(^^ゞ
映画は真剣でした~ バシバシ斬られて、ドバドバ血が出てました☆
by non_0101 (2010-07-04 09:13) 

non_0101

@ミックさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-04 09:14) 

non_0101

おさむさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
乗り切ったみたいですね!本当にお疲れ様でした☆
by non_0101 (2010-07-04 09:16) 

non_0101

桜桃の味さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-04 09:21) 

non_0101

miyukimonoさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-04 09:22) 

non_0101

りぼんさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-07-04 09:23) 

たいちさん

藤沢周平作品は大好きです。この映画も山形県の庄内で撮影されたのでしょうね。是非観たいですね。
by たいちさん (2010-07-04 19:21) 

バラサ☆バラサ

トヨエツの役の人ですが、何を考えているのか良く解らないので、いまいち感情移入ができませんでした。藤沢周平原作は、やはり、山田洋次作品のほうが好きです。

でも、ドバドバの殺陣は、凄かったですわ。

by バラサ☆バラサ (2010-07-06 16:19) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
今年は見応えのある時代劇が登場しますね。
今作は悲しい物語ですけど、やっぱり藤沢周平作品らしさが良かったです。
機会がありましたら、楽しんでくださいね☆
by non_0101 (2010-07-06 22:46) 

non_0101

バラサ☆バラサさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
今作の主人公は静かな上にちょっと不思議な人物だなあと思いました。
ミステリーなところは豊川悦司に似合っていたかも(^^ゞ
あの血飛沫はビックリでした☆
by non_0101 (2010-07-06 22:50) 

ジャニスカ

殺陣で魅せることができる時代物の映画は近年では貴重ですよね。
近いうちに見に行くつもりでおります。楽しみです(^^)。

by ジャニスカ (2010-07-10 20:29) 

non_0101

ジャニスカさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
久々に血がドバーっと出る殺陣を観ました~
鬼気迫る演技に圧倒されました。
ぜひ、楽しんでくださいね☆
by non_0101 (2010-07-10 21:16) 

きさ

なかなかしっかり作られた時代劇ですが、山田洋次監督の藤沢周平三部作と比べるとちょっと見劣りするかな。
主役の豊川悦司がいいですし、俳優はみな良い感じですが、ヒロインのはずの池脇千鶴がちょっと時代劇としては華がないかなあ。
主人公と切り合う事になる吉川晃司も健闘してますが、個人的には岸部一徳の何考えてるんだかわからない中老役が良かったです。
やはりいい役者です。

映画は面白かったですが、秘剣の「必死剣鳥刺し」がいささか謎です。
この点は原作も同様なんですが、、
映画には秘剣の正体について一つアイディアがあり、それで映画の評価が上がってしまいました。
ラストは結構救いがないですねえ、、
原作通りなんで仕方がないんですが。

by きさ (2010-07-17 09:05) 

non_0101

きささんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
岸部一徳さんは相変わらずいい味を出していましたね~
本性を見せない役というのが似合い過ぎていて可笑しかったです。
“必死剣鳥刺し”は原作でも謎なのですか。
実際にはかなり難しいのかなあと感じました(^^ゞ
by non_0101 (2010-07-17 10:20) 

ひきばっち

こんにちは♪
TB&コメント有難うございました(^^♪。
まさに「ハードボイルド」でしたね!わたしの大好きなジャンル(邦画、洋画問わず)なんですよ。
三左ェ門の「お出迎え、いたしますぞ。」シビレます~(何なんだオレは(笑)。

>そんな兼見を演じた豊川悦司さんの鬼気迫るような凄まじさに圧倒されました

圧倒的でしたネ!最期の「鳥刺し」は、冗談ぬきで鳥肌が立ってしまいました・・・。こういう硬派な時代劇・・・たまらないっす、で、★5つ満点です(^^♪!
by ひきばっち (2010-07-18 08:32) 

non_0101

ひきばっちさんへ
こんにちは。こちらこそコメント&TBをありがとうございました!
壮絶でしたね~!“硬派な時代劇”を本当に久々に観ました。
観る前はこんなにハードだとは思っていなかったので、びっくりでした(^^ゞ
あの低い声で「お出迎え、いたしますぞ。」はカッコ良かったですね~
あれは痺れます☆
by non_0101 (2010-07-19 07:09) 

とっと

今日見てきました。
裏で糸引く岸辺一徳の中老を見て、某連ドラ(映画)
「相〇」の警察庁官房長役を思い出したのは、私だけでしょうか?

あと、御別家様と対峙した三左エ門のせりふは、私には
「お手向かいいたしますぞ」と聞こえました。
by とっと (2010-08-01 21:46) 

non_0101

とっとさんへ
こんにちは。「相〇」ですか~
実は私は連ドラをちゃんと観ていないのですけど、
あんな策士は組織の中にいそうですよね。
目を付けられたら最後という感じで怖かったです~
“お手向かい”は面白いです(^^ゞ
出向かうぞとか言われたら、掛かって行く方も怖くなるかも☆
by non_0101 (2010-08-02 12:37) 

みつかこねか

Nonさん、こんばんわ!
レンタルでみましたが、今年の1本はこれです。
ラストの殺陣シーンは圧巻で、映画をみているのですが、
まるで、時代の記録シーンに立ち会っているかのような
不思議な気持ちになりました。
藤沢作品はいつも見事ですが、これに描かれている
不合理なことがきっとたくさんあったんでしょうね!
岸部一徳が役柄とはいえ本当に極悪人でしたね!
*のんちゃんのり弁ではとてもいい人だったのに!
*よい年をお迎えください!

by みつかこねか (2010-12-29 19:28) 

non_0101

みつかこねかさんへ
こんにちは。殺陣のシーンは圧巻でしたね。
> まるで、時代の記録シーンに立ち会っているかのような
これほど血がドバドバ出る殺陣を久々に観たのは久々でした(^^ゞ
迫力でしたね~
岸部一徳さんはいい人も悪い人も本当に上手いですね。
観ている者に予測を立てさせないくらいで、いつも凄いなあと見てしまいます。

みつかこねかさんも良いお年をお迎えくださいね☆
by non_0101 (2010-12-31 11:21) 

k_iga

手で首を触り脈が無いのを確認して「事切れております」。
なのにその後、ムックリ起き上がり一刺し。
「おいおい、ゾンビかよ」と失笑。

推理小説のトリックで脇の下にテニスボールなどを強く挟んで
手首の脈を消す、というのがありますが、確認したのが首ですから。

このシーンとセリフ、原作には無いそうで、明らかに脚本の蛇足
です。

by k_iga (2012-08-19 02:15) 

non_0101

k_igaさんへ
こんにちは。あのシーンは私も“ゾンビだ”と思ってしまいました(^^ゞ
原作には無いのですか~
どうやったか知りたかったのに!
あれも謎の秘儀のひとつだと思っていました☆
by non_0101 (2012-08-19 09:53) 

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