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ボローニャの夕暮れ [は行]

第2次世界大戦のイタリアを舞台に親子の絆を描いた人間ドラマです。
イタリアで大ヒットしたと聞いて、ちょっと気になっていました。
イタリア独特の雰囲気の中で繰り広げられる親子の行動を描きながら
観終わった時、ちょっと不思議な感覚をもたらす作品でした。

戦争の気配が色濃くなってきたイタリア・ボローニャ。
高校の教師ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)は、自分と同じ高校に通う娘に深い愛情を注いでいた。
実は一人娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)はちょっと癲癇気質があり、性格も幼児的なまま。
17歳になっても人と上手く接することが難しく、男の子と付き合ったことも無かった。
母デリア(フランチェスカ・ネリ)はそんな心を通い合わせるのが難しい娘に
優しい愛情を持てないことを気に病んでいた。
そんなある日、ミケーレは高校でジョヴァンナが一人の男子学生と嬉しそうに話している姿を見かける。
その男子学生が人気者だが落ちこぼれ寸前の生徒だと分かったミケーレは
留年させない代わりに娘と仲良くして欲しいと頼むことにした。恋する娘の笑顔を見たかったのだ。
だが、その行為は娘の誤解を招き、やがては大きな悲劇へと繋がっていった…

いろいろな愛の形が見えてきました。

ボローニャの高校で起きた世間を揺るがす事件。それは娘のジョヴァンナが起こしたものでした。
父ミケーレは何故、彼女が事件を起こしたのか理解した上で、娘の見方になろうとします。
彼は娘の無実を信じたのではなく、娘の行為をも含めた上で娘を受け入れます。
当然、学校はくびになり、親しかった町の人々からは冷たい態度を取られます。
それでもミケーレは可能な限り刑務所へ面会しに行き、何とか娘を支えていきます。
一方、母デリアはなかなか会いに行こうとはしません。
一度は刑務所まで行くのですけど、どうしても決心がつかず直前で引き返してしまいました。

ジョヴァンナが刑務所から精神病院へ移り、
金網越しにですけど監視なしで自然に話すことが出来るようになります。
これまでも父に会う度に、お母さんは?と聞いてきた彼女でしたけど、そのうちにとうとう、
母は会いに来られないのではなく自分に会いたくないのだと言い始めます。
そして、娘の言葉をきっかけにミケーレも、ミケーレの妻でありジョヴァンナの母であるデリアは
今の家庭にいることが幸せだと思っていないのではないかと考え始めます。
そして、彼は妻に対してある決心をしました。

それにしても面白い夫婦でした。
父は娘のために生き、妻は自分の幸せを求めていきます。
それが3人の幸せなのかと思ったのですけど、観ているとそうでもなさそうです。
きっと、アメリカでも日本でもない愛の形なのかも知れませんね。
見終わった瞬間にはあまりにも唐突にみえたラストも、
これがイタリア的にはありなのだなあと改めて考えてみました。
そして、ゆっくりと考えてみると、どんな激動を経ても家族は繋がっていると、
そして赦しあえるという想いを信じたくなるような気がしました。

観終った時はかなりあっけにとられたのですけど、2週間過ぎてようやく何か分かった気がした1本です(^^ゞ

hitsuji_IL-PAPA-DI-GIOVANNA.jpg

監督:プピ・アヴァティ 出演:シルヴィオ・オルランド アルバ・ロルヴァケル フランチェスカ・ネリ
2008年 イタリア 原題:IL PAPA DI GIOVANNA
(20100728)

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KLY

ちょーっとねー、私は父親のあまりの過保護ぶりにどん引き
してしまいまして…。無償の愛というより、下手すると近親相姦
でもしてるんじゃないの?とか思ったぐらい。^^;
母との関係が彼女の精神に以上をもたらしたということらしいの
ですが、私はこのお父さんの存在も少なからず影響を与えたよ
うに思えてなりません。
by KLY (2010-08-10 23:34) 

non_0101

KLYさんへ
こんばんは。コメント&TBをありがとうございました!
ちょっと理解しにくい親子と夫婦の関係でした(^^ゞ
> このお父さんの存在も少なからず影響を与えたように
とりあえず、お父さんのおせっかいがなかったら、あの事件は起きていなかったですもの。
影響はあったかも知れませんね。
私はこの夫婦とラストをどう理解しようかと考え込んでしまいました。
何となく「マレーナ」を思い出して、ちょっとだけ分かった気がしました☆
by non_0101 (2010-08-11 00:17) 

きさ

なんだか不思議な話だと思いました。
ラストなんか、それでいいのかよ、とか思いましたし。
実話だというのならその不条理ぶりもわかる気がしますが。
あの親子関係はヘンだと思うのですが、監督はどう思っているのかなあ。
戦前から戦後までのイタリアの庶民の描写は良かったです。
by きさ (2010-08-11 08:54) 

non_0101

きささんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
あのラストはどう受け取ろうかと悩んでしまいました…
しばらく考えて、深読みせず素直に受け取るものだと感じました。
この映画がイタリアでヒットしたということは、
これは究極のハッピーエンドなのかなあと(^^ゞ
> 戦前から戦後までのイタリアの庶民の描写は良かったです
良かったですよね。あのファッションも含めてこうだったのだなあと
思いながら観ていました☆
by non_0101 (2010-08-11 12:55) 

non_0101

yamachanさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-11 12:56) 

たいちさん

思春期の娘と父親の関係は、難しいとよく聞きますが、母親も絡んでの複雑な家族関係を描いているのですね。イタリアでは高い評価を得たそうなので、機会あれば観たいですね。
by たいちさん (2010-08-11 15:44) 

yu-papa

何が分かったのでしょう・・・・・・気になりますねぇ~^^
by yu-papa (2010-08-12 08:05) 

non_0101

たいちさんさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
ある意味とてもイタリア的な作品です。
感覚的に理解し難いところがありましたが、
そういったことが分かったことが面白かったです☆
by non_0101 (2010-08-12 12:38) 

non_0101

モカソフトさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:39) 

non_0101

ぷりん&りくさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:41) 

non_0101

cheeさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:42) 

non_0101

なぎ猫さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:42) 

non_0101

寿パパさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:43) 

non_0101

ソラさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-12 12:44) 

non_0101

yu-papaさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
えっとですね~ ラストの展開にビックリしたので、
素直に受け止めて良いのか判らなくなってしまったのです。
でも、きっとイタリア的にはこれで良いのだ!と思えるようになりました(^^ゞ
きっと日本では難しいし、アメリカではありえないような展開なのです☆
by non_0101 (2010-08-12 12:47) 

non_0101

まっきーさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-13 09:08) 

non_0101

dorobouhigeさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-13 09:08) 

non_0101

えーちゃんaaaさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-13 09:09) 

non_0101

ヒロさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-13 09:09) 

non_0101

Jerryさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-13 09:09) 

エコピーマン

イタリア映画らしい作品ではないでしょうか 深く日本人には意外とりかいできるのかも・・・
by エコピーマン (2010-08-13 11:36) 

non_0101

おさむさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-14 12:18) 

non_0101

エコピーマンさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
観終わって考えてみると、とてもイタリアらしい映画だなあと感じました。
過去に何があっても、さっぱりとした雰囲気になれるところは凄かったです☆
by non_0101 (2010-08-14 12:21) 

non_0101

Webプレス社さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2010-08-14 12:22) 

きさ

帰省していて反応遅れました。。
>究極のハッピーエンドなのかな
そうかもしれませんね。
監督あんまり考えてない、、?

by きさ (2010-08-17 16:12) 

non_0101

きささんへ
こんばんは。イタリア人だとすぐにハッピーエンドと分かるような感覚なのかなあと
ちょっと考えてしまいました。
私がそう思えるようになるのには随分とかかってしまいました(^^ゞ
by non_0101 (2010-08-19 00:24) 

がっちゃん

この映画を見たあと、『精神病院を捨てたイタリア捨てない日本』と言う本を読んで、なんか当時のイタリアの社会事情みたいなものをおぼろげながら見たような気がします。
映画の感想としては、好きではないけれど、印象に残る作品でしたねーーー
トラックバック送らせていただきました。
by がっちゃん (2010-08-23 13:43) 

non_0101

がっちゃんさんへ
こんばんは。コメント&TBをありがとうございました!
この作品、おそらく自国では理解できる物語だと思うのですけど、
イタリアをあまり知らない私みたいな人が観てしまうと、
ちょっと分からないところが出てくる気がします。
どう解釈してよいか、観終わってからしばらく考えてしまいました(^^ゞ
当時の社会事情が分かると深く理解できそうですね☆
by non_0101 (2010-08-23 23:13) 

19歳大学生の娘を持つ父親

 たしかに娘の通う高校の教師という社会的立場を考えると、交際相手に対する父親の軽はずみな言動は不用意としか言いようがなく、現実にはあり得ない設定だとは思います。
おそらく若い世代にとっては理解に苦しむ映画でしょう。
 しかし、父親が娘を心配する気持ちは痛いほどわかります。 
あまり奔放過ぎるのも困りものですが、かといって全く色恋に無縁というのもまた心配というのが年頃の娘を持つ父親の正直な気持ちです。
とくに後者のほうが心配というのはイタリアというお国柄でしょうか
父親っていつも余計なおせっかいをしては嫌われるのが世の常なのですが・・・。それでもまたやめられないのが父親というものなのです。
年頃の娘というのは父親にはかく心配でまた可愛い存在なのです。
 徐々に壊れていく娘に会いに行くときの彼の一途な愛情を思うと、胸が締め付けられるようでした。自分だったらああいう姿を見るのが不憫でとても会いに行けないかもしれないと思ったりしました。
娘につきあってさらに汚い言葉を探すシーンなど泣けて泣けて・・・。
きっとこれはくたびれた中年の、家庭に居場所をなくした、しかし家族を愛してやまない、そんなお父さんのための映画だと思います。
(思い当たるお父さん必見です。)
 テーマはかなり重いものではありますが、イタリアの庶民の何気ない日常生活が淡々と描かれていて、映画館で映画を観る幸せをしみじみ感じた作品でした。
でもこういう作品は一般受けせず、実際の興行としては成り立たないのでしょうね。
神戸のシネ・リーブルでも2週間限定のモーニングショーだけでした。
もっと多くの人に観てもらいたいのに残念ですが、観る機会を与えてくれた映画館に感謝の念でいっぱいです。

by 19歳大学生の娘を持つ父親 (2010-09-07 11:41) 

non_0101

19歳大学生の娘を持つ父親さんへ
こんにちは。たくさんのコメントをありがとうございました!
イタリア的な家族の繋がりが見えてくるような作品でしたね。
やっぱり父親にとって娘は本当に大切なものなのですよね~
最後の方で唐突に7年が過ぎますけど、きっとその間も娘を支え続けてきたのだなあと
後から考えました。
もしかしたら、娘があそこまで回復したのは父の愛ゆえかも知れませんね。
街や人々の様子からもイタリア独特の姿が伝わって来て興味深かったです。
こういう作品をスクリーンで観るのはやっぱり楽しいですね☆
by non_0101 (2010-09-08 07:23) 

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