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東ベルリンから来た女 [は行]

1980年の東ドイツを舞台に、一人の女性の生き方を描いた人間ドラマです。
自転車に乗っている写真が印象的で、これから何が起きるのだろうと気になっていました。
サスペンスではないのに、出だしから緊張感が漂う空気が伝わってくるような作品でした。

人生の一つの決断は彼女の心そのものでした。

ベルリンの壁が崩壊する前の1980年の東ドイツを舞台に描いた一人の女性の物語です。
海岸沿いの小さな町に、ベルリンから一人の医師が赴任して来ました。
その医師・バルバラ(ニーナ・ホス)はバスで勤務先の病院に着くと、まずはベンチで一服します。
その様子を病院の窓から観ていた同僚たちは、彼女の孤独な雰囲気を敏感に察知していました。

勤務が始まっても、予想通り、彼女は同僚たちに溶け込もうとはしません。
実は彼女には過去の出来事から誰も信用できなくなってしまった上に、
今でも警察に監視される身だったのです。
同僚たちは、自分を見せないバルバラを都会のベルリンから来たお高くとまった人物だと思っています。

でも、彼女の技術と診断はやはり的確で、素行の悪い少女と思っていたステラ(ヤスナ・フリッツィ・バウアー)が
重い病気であることをすぐに見抜きます。
患者であるステラに優しく接するバルバラは、いつもの無表情な顔とは全く違う、
仕事に誠実な本来の表情を見せていました。
そんな彼女に医師のアンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)が好意を持って近付いていきました。

それにしても、以前に『善き人のためのソナタ』を観た時にも思ったのですけど、
1980年代でもこんなに息苦しい生活を強いられてきたのですね(T_T)
まるで嫌がらせのように行なわれる家宅捜索や身体検査は本当に酷いなと思いました。
無表情の近所の人々や、疑うことしか考えられない人間関係に、
これは心が消耗されて疲れ果ててしまうのも分かるなと感じました。
そんな中で、西側の恋人への想いと、医者としての責任の間で心が揺れてしまうのも納得でした。

ラストの彼女の選択は、彼女の人間としての素晴らしさだと感じました。
ベルリンの壁が崩壊した時、彼女は何を思っただろうなあと考えてしまった1本です。

hitsuji_BARBARA.jpg

監督:クリスティアン・ペツォールト 出演:ニーナ・ホス ロナルト・ツェアフェルト ライナー・ボック ヤスナ・フリッツィ・バウアー マルク・ヴァシュケ
2012年 ドイツ 原題:BARBARA

公式サイトはこちらへ http://www.barbara.jp/


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non_0101

つむじかぜさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-30 08:42) 

non_0101

世界のアイドルさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-30 08:42) 

non_0101

怪しい探麺隊さんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-30 08:43) 

non_0101

song4uさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-30 08:43) 

ta74382

これも興味深い。
確かに『善き人の〜』を連想させますね。

でもあの映画の”東”ばっかり悪者の描きかたって…。

どうせ良く知らない身なのですが…。
by ta74382 (2013-01-30 19:38) 

non_0101

ta74382さんへ
こんにちは。私も知らない別次元の世界でした~
感覚的にもとても辛そうでした☆
by non_0101 (2013-01-31 08:59) 

non_0101

月夜のうずのしゅげさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:28) 

non_0101

Cherryさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:28) 

non_0101

beamuseさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:28) 

non_0101

siroyagi2さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:29) 

non_0101

Ritaさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:29) 

non_0101

想也さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:29) 

non_0101

sugoimonoさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:30) 

non_0101

ブラザー★ボブさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:30) 

non_0101

まぁくんさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:30) 

non_0101

k_igaさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:31) 

non_0101

HIROMIさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:31) 

non_0101

artfuldodger3さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:32) 

non_0101

いっぷくさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:32) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:33) 

non_0101

エコピーマンさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-01-31 22:33) 

non_0101

reicooさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-02-03 20:37) 

non_0101

alba0101さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-02-03 20:37) 

col

はじめまして
確かにこれが80年代、日本がバブルを謳歌していた時の話だと思うと
ゾッとしますね
こういう見応えのある作品を観てしまうと、ハリウッド映画はたまに観ればいいや、と思ってしまいます(笑)
またお邪魔します
by col (2013-02-11 10:35) 

non_0101

colさんへ
はじめまして。ご訪問&コメントをありがとうございました!
そうそう、日本ではバブルだったのですよね~
その落差には、貧富とかとはまた違う怖さを感じてしまいます。
こういう良質なヨーロッパ映画もどんどん公開して欲しいですね☆
by non_0101 (2013-02-11 12:29) 

non_0101

reicooさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-02-12 00:33) 

non_0101

そらさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2013-02-12 00:33) 

ムース

地味ですが 見ごたえのある映画でしたね。

少女が寒い海を無事に渡ることが出来たのか心配になりましたね。
by ムース (2013-02-26 23:57) 

non_0101

ムースさんへ
こんにちは。nice&コメントをありがとうございました!
こちらも、とてもお返事が遅くなってしまってすみませんでしたm(__)m
本当に見応えのある映画でした。
緊張感が絶え間なく続く感じです。
本当にこんな生活をしていたのだろうと思うと切なくなりました。
きっと少女は助かったと願っています。
そして、壁が崩壊した時に、再会できたと願いたいです☆

by non_0101 (2013-03-08 08:40) 

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